DAITO-VOICE "F120C85-1"
=120mm Full-Range Speaker System "CUBIC" Takayori Okino Original Version 2017/03/24=
ダイトーボイス・「F120C85-1」バスレフ式フルレンジスピーカシステム『キュービック』 T.Okinoヴァージョン

我が家のバスレフ式自作スピーカシステム第三弾。今度はダイトーボイス(株式会社東京コーン紙製作所)の直径120mm・フルレンジユニットによる小型のシステムで、とても面白い作品になった。

..........またスピーカユニット買ってしまった.....(^_^;)興味本位で(後述)120mmフルレンジスピーカユニット 『F120C85-1』買ってみた。ダイトーボイス(株式会社東京コーン紙製作所)。お値段なんと1900円。安い!!
もう気狂いだね、クラシック音楽界の大御所マエストロ、我が恩師の影響を受けてその筋のことに興味を持つことになってしまったんだから仕方がない。

使ってみた感想から先に書いてしまうが、はっきり言ってコレ、頼りなさそうな容姿のイメージを裏切って実に「音がイイ!!」のである(いや、マジで....)。

ただし。低音の再生能力はかなり低いです それを気にしないのであれば、このスピーカユニットと比べて遥かに高価なBOSE群やIsophon "Orchester"そしてAltec 409-8Eなど、普段、様々なプロフェッショナルスピーカの音に接しているわたしの耳で聞いても、こいつは案外がんばって実に耳に心地よく実に素直な音を響かせ、なかなかどうして、使えるヤツなのである。



それにしても、なんでこれを入手したのかと言うと、ことの始まりは、たまたま偶然にこのページを発見し、その中にこのF120C85-1のことが書かれてあり、その一部を抜粋して引用させていただくと.......

.........刺激のある音は出ません。 朗々と鳴ります/この音はすごくいいです。/==略==/....良いスピーカーに出会えたと思っている/見た目も、なんとも安っぽいけど。/実際安いんだけど/これが なんとも心地よいのである/聴いていて、飽きない/あの音楽も、このCDも とっかえひっかえ/もっと ずっと 聴いていたい/ジャズもクラシックも演歌も・・・朗々と鳴って、 楽しいのである。/=略=/高音が紙臭いだの、きめ細かさが無い、なんて 全然気にしない。/=略=/オーディオなんて、もう おさらばさ

なんて書いてあったので、

「それって、一体どんななんだよぉぉぉっ!!!」

と大変興味を持ち、気になって気になって仕方がなくなってしまってついにその音を確かめてみたい気持ちを抑え切れずに買ってきてしまった次第である。




今回のキャビネットは1.8cm厚のパイン集成材で作成。外寸で高さ20cm×幅20cm・奥行14.5cm、その容量は設計上おおよそ3.9L程度。背面に88.3Hzのバスレフポートを装備。
このキャビネットの形状から「キュービック」と名付けた。



 実に低音の出力がさほど得意でないユニットなので、今回のキャビネットでは「欲張って無理に低音を絞り出させる」ことはしないで、中域の安定で勝負することにした。
案外、中低域がしっかりと出るので、薄い板で容量が小さいキャビネットを組むとボウボウとした音になりやすく、1.8cm厚のしっかりとした板で4L以上の容量で箱を作るのが最適なようだ。


"LIMP"によるインピーダンス測定結果。フルレンジユニットのグラフは実質的にこのF120C85-1で初めて目にした。この他11.5cmフルレンジユニット一発のBOSE 101MMのインピーダンスを測ったことがあるが、あれはBOSE独自のパッシブイコライザーが直列に入っていて「音」をいじっていることもあって、やたら上下に波打つような、フルレンジにしては不自然で、真のフルレンジユニットのインピーダンス特性とは思えなかった、だから101MMははっきり言って生粋のフルレンジの「音」ではないのである!皆さん騙されないようにお気をつけて(^_^;)...。さて、このユニットの特性としては、高域になるにつれて少しずつΩが上昇していき、それだけ高音の再生能力が機能的に低下していっていることが想像できるが、自然な能力低下なので、高音がさほど出ていないことを承知で聴くなら耳当たり自然に聴こえることだろう。

そして、グラフがトータル的にほぼぴったりの特性を示していることから、まずユニット自体の左右それぞれの品質のばらつきはほぼ皆無であることを示していると感じるし、次に、またまた今回もキャビネットは左右ともほとんど揃った仕上がりになったようで、実に嬉しい。密閉性についてもほぼ問題は示されていないように見てとれるし、自作スピーカ部門では好ましくない響きとしてしばしば話題になる、箱の内部の「定在波」もほとんど存在していない模様。

ユニット自体のインピーダンスは公称8Ωだが実測では左右平均で7.9Ωだった。いくつかの海外製のユニットのインピーダンスを測定してきたが、ほとんどどれも、8Ωと記載されていて7.3Ωだったり、4Ωが2.4Ωだったりと、公称の数値よりかなり低い実測値だった経験があるので、「8Ωったら8Ω!」とはさすが日本製、真面目な設計である!

バスレフポートは、音を聞きながらシステムとしてバランス的に最も最適とわたしが感じる低音の出具合になるように、ポートを少しずつ切り開いていくことでサイズを調整し、その共鳴周波数が88.3Hzということになった。そしてポートの共鳴周波数(88.3Hz)と実測公称のそれ(424.7Hz)の抵抗値がほぼ近似した数字になっていることから、バスレフがきちんと動作してくれていることを確認できた。バスレフポートの大きさは15mm×15mm程度、これくらいで十分なのである。





 さて、それではいよいよ音質について主観的に書いてみると.....................。
実際にキャビネットが完成してまずは密閉で音を出してみたところ、はじめに感じたのが「う!何この音は!?」だった。
それは確かに、このページのWEBマスターがこのユニットによるシステムを作って初めて音を鳴らしたときの衝撃、「一目ぼれで 一聴して ノックアウト状態です」、まさに、ソレだった\(OoO)/!!

とてもとても優しい音である。あまりにあっさりと、ただひたすらに坦々と再生される音.....何といったら良いか、最高音域はやはりさほど出てないのに、また低音も量感が少ないのに、それらのことを不足不満に感じさせることもなく、ただひたすら普通に奇麗で、実に素直で....。

中域を拠点に、高域・低域へバランスよく滑らかに音域が広がっている。高域にきめ細かさは確かにないけど、そんなことは全然気にならない。アレが良いとか、コレがちょっといただけないとか、そしてこういうところが特に秀でてるとか、そんなようなことは一切ない。
本当に刺激のある音は出てこない。
この響きなら確かに、「いつまでもコレで聴いていたい」と耳が離れない、そんな不思議な魅力がある。色彩は淡いが、基本的にその音色は澄んでいる。だから音楽ソースが一体どういうものであるのか、それが明確に伝わってきて明瞭にイメージして聴けるところ、「演奏しているのはちゃんとわかる」、それは確かなことである。

低音がかなり薄いからロックやテクノは苦手だが、そのことによるスケール感が少し乏しいながらクラシックはなかなかイケる。室内楽的な小編成アンサンブルのバロック音楽が美しい。声楽の演奏が、その「声」の魅力をしっかり伝えてくる。

吸音材なしでこの響きになったので、少量それも便宜的に吸音材を入れることにして、それなり最適に低音が出てくるようにバスレフもポートを調整しながら作ってみたら、この不思議な魅力を持った響きがいっそう洗練された。

ランクが上のオーディオ用スピーカなどと比べては可哀想だが、多少ゆるい音だけれど、まこと何を聞いても気持ちよく音楽を楽しんで聞くことができる。
解像度の高さや色彩の豊かさで勝負するのでなく、直感的に、自然的に、音楽を聴くことにおいて十分な性能だと思う。
DAITO-VOICE "F120C85-1"の音は、確かに評判通りの響きであった。
小さめな音量でBGM用として使うと抜群!!こういうスピーカも、面白くて、楽しくて、いいなと思った。
不思議な魅力を持つ素敵なシステムが出来上がったと大満足、わたしが所有している他のスピーカたちとこの「キュービック」をまんべんなく繋ぎ替えてオーディオを楽しむ毎日である。


※このスピーカユニットの泣き所は、許容入力が3Wしかないので大きな音を出そうとすると音が濁ってしまうことです。大きな音を出させることは不可能なので、「うるさいくらい」の音量にはしないよう十分注意する必要がある。


本ページ作成者:沖野孝頼